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科学未来館に行くのは
始めてだった。
ちょっとドキドキしながら、大崎から
りんかい線に乗った。
本を読むのをやめて風景を
見ようと思ったら、
ずっと地下だった。
福原哲郎さんや、黒谷明美さん、
的川泰宣さん、吉村浩一さん、
松本信二さんとシンポジウム。
黒谷さんが見せてくださった、
無重力状態で一生懸命姿勢を制御する
カエルの姿がいじらしかった。
無重力状態。
たったひとつ、パラメータが
変化するだけなのに、
全く違う世界に投げ込まれて
しまう。
アマガエルは、それでも、
普段から樹上に
行くので落下に「慣れて」いて、
それなりの姿勢をとるが、
ヒキガエルやアフリカツメガエルは
そのような生活史がないので、
どうしていいか解らず、
あげくの果てにグルグルとスピン
してしまうというのだ。
ふと、自分で重力を作り出して
いるのかなあ、と思った。
素粒子からカエル、惑星まで、無重力
状態では、回転することが
ひとつの安定状態であるという
メタファーについて考える。
フィギュア・スケートのスピンは、
右回り、左回りの癖があるのだろうか。
的川さんは、どんどんロケットを
つくって、みんなが宇宙に行くように
してくださるそうだ!
長く生きていきてよかった、
とみんなで思いましょう。
後半のパネル・ディスカッション
のコーディネーターの粟野由美さんと
控え室で
少し話したのがおもしろかった。
現代美術における文脈主義の
問題。
何かのコンペで粟野さんと村上隆が
一緒になり、
村上隆が、自分の作品の意味を論理的に
説明して、
外国人審査員への受けが良かった、
という。
私はアーティストは作品が全てであって、
その意味などについては無記を貫く
べきだと思う。
それがクオリア原理主義からの論理的
帰結だが、
そう思わない人が彷徨する世間という
ものがある。
美とは、意味という接地が奪われた
無重力空間で私たちの魂がとる姿勢の
ことではなかったのか。
地べたを歩き回るのが好きな
人は、きっと
いぶかしげに上空を見上げる。
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